appleJam Best of the Best 7Club 2008

2008年の7大クラブを振り返って、10年後でも絶対気が変わることはないだろうベスト作品を抽出しました。
2018年の7大クラブにも顔を出していそうな人が一杯居てとても楽しみですね♪

Best of Blues Club

マイケル・バークス (Michael Burks)
鉄の意志を持った Mr.Flying V with God Hands、音当たりは硬いけど優しさもまた一杯
早くも第二のルーサー・アリソン的ステイタスを感じさせる、まさに逸材中の逸材!

Michael Burks Iron Man CD \2,480
tax in
2001年のデビュー作を聴いたときからバークスにはずっと同じ印象を私は持って
います。それは音が実にハードで剛質な音にも関わらず、爆音で聴いても決して
うるさくないのです。音に詰め込まれたブルース魂と同時に、燃えている男の持つ一種
優しさがそこにあるから。今回も全曲でその粘り気たっぷりの伸びやかなギターが曲を
盛り上げていきますが、出色はアルキンの"As the Years Go Passing By"の変形
#10.Icepick Through My Heartに於ける後半のソロ。ギターでここまでドラマを作って
しまうとは!しかも彼は歌もスモーキーで非凡な魅力があるので存在感がさらに
増量されてこちらの琴線に届きます。今や数少ないフライングV弾きとしても、
オレは生涯このギターを手放さないゼという感じがズッシリと伝わってきます。
店主の超お気に入りは#9.Hard Come Easy Go、ズシッとしたソウルはまさに
良き日々は去って苦難の時代を迎えようとしている私たちのブルースかと。

2008 USA Alligator ALCD-4923

北米ブルース大陸にカリブ海プレート接近中による群発地震が発生中、
ラテン・ロック+カリビアン・ファンクといったそんな西インド諸島の風が吹く作品

Mississippi Heat / Hattiesburg Blues  CD \2,280tax in
今回もまたカール・ウェザズビーが6曲で、そしてルーリー・ベルがここしかないという
クールなポジションで2曲に参加。前作に居たマックスのギターも好きだったのですが、
今回はジャイルス・コーリーにバトンタッチ。その新レギュラー、蛇居留守の短いギター
ソロが光るラテン・ブルース#4.How Much Worse Can it Be?等、全体的にも西インド
諸島周辺の音楽への急接近ぶりが顕著で、その多くは成功しています。腹の底から
地熱がこみ上げてくる感じの原始的パーカッションにハーモニカとギターが絡むとき
ブルースという音楽が一瞬で異文化のルーツ音楽と同化することが出来る音楽であ
ること、改めて痛感します。そして今回も愛練った(Ineta)のヴォーカルが何とも心くす
ぐられます。多くの音楽ファンを文句なしハッピーにすることが出来るブルースです。

2008 USA Delmark DE-795


Best of Rare Blues Club

正統派ゴスペルだからこその重厚さは、あたかも大地を這う土だらけの根っこと
似ている気がします。ゴスペルはやはりトラッドが好いと思わせる純度の高い作品

Geraldine and Donald Gay Soulful Sounds CD \2,100tax in
過去、50年代サヴォイと60年代チェスにもその吹き込みを残すゴスペル
・ジャイアンツとして知られるピアノのジェラルディンとシンガーのドナルド
の二人。その二人に今回必要最小限のシンプルなリズム隊を加えて完
成したのがサイレン・レコードによるこの2007年盤。ピアノの専門レーベ
ルが手工品感覚で仕上げた逸品だけあって、ゴスペル作品としての立ち
位置から繰り広げられる#4、#7といったブルース・チューンや、ラスト#11.
の10分近い、ほぼピアノ・インストとして仕上がったドラマチックな曲にも
深い感銘を受けてしまいます。腰を据えてじっくりと聴きたい1枚です。

2007 USA Sirens Records SR-5016

アルバート・ホワイト
グルーヴィーさがツボにはまるアラバマ産の極上ブルーズン・ソウル

Albert White Soul of the Blues CD \3,390tax in
全曲がソウル・シンガー度MAXの抜群の歌唱でガンガン攻めてくるため普段ブルース
は聴かないというソウルファンでもこれは一発でKOされそう。但しアルバートを含めて
7人ものシンガーがクレジットされているので耳にはどの曲が誰やら区別が付かず、個
人的には#3や、ベタベタのスロー・ブルース#5とメンフィス調の#7でのハイノート・ヴォイ
スがズキュンとハートをぶち抜いてくれます。このシンガーがアルバート?あと、変態ロッ
キンR&Bで迫るハードな仕上がりの#11等もまさにアルバートの独壇場。過去、ベヴァリ
ー・ワトキンスの"Back in the Business"にも参加していますが、ここでは逆にそのベヴ
ァリーが客演、他にもS.クロッパー、E.ビショップといったとても魅力的なゲストも居ます。
アレグロ・モデラートでびゅんびゅん駆け抜けていく感じの#3.のサムクック・チューンは
さりげないようでバックのオルガンが値千金の味わい。ギタリストとしての魅力もさるこ
とながら各曲のアレンジも優れているので聴くべき角度も多々という、隅には絶対
置けない盤。年間でも三本の指に入るだろう抜群に秀逸な盤です!

2007 USA Music Maker



Best of Blues Woman Club

作風がワイドになってより多彩な女性であること実感します
Roxy Perry In My Sweet Time  CD \3,850tax in
いつもながらのシャウター・スタイルでストレートに斬り込んでくる、
そのツッコミの良さに加えて今作は特に作風がワイドになっています。
スインギー&ジャンピーな曲からジャズ・ブルース、そして軽快なファン
ク・チューンにストレートなブルース。さらにはドブロ・スライドやスクラッチ
・ノイズ入りの戦前ブルース風の曲なんかもあって、これはきっとロキシ
ーにとって夢のブルースのオモチャ箱なのかも知れません。緩急のバラ
ンスが絶妙で、それらほとんどが彼女のオリジナル曲だというのがロキ
シーの強み。曲によって初めて少しパワー減を感じるものの真っ黒けの
ヴォイスが相変わらず迫力充分、シンガーとしての魅力は不動です。

2008 USA Blue Perry Hill  

カントリー・ブルースもB.B.チューンもイイ線行ってる、ホットなブルースウーマン
Gayle Ackroyd Women be Wise CD-R \2,750tax in
ちょっぴりとまだ残っているあどけなさというか、ゲイルの可憐で何処か
頼りなげな女の子みたいな歌は人によってズバリ、ストライクゾーンのよ
うな気がします。各曲でのロッキン・ブルースっぽいギター・ソロはそれぞれ
の曲に参加している合計で3人のギタリストが担当しているのだと思います
が、ゲイルのギターもAll Tracksだとクレジットされてもいるので何処かで
ソロも弾いている?トップを飾る重量級のブルース#1.を楽しそうに牽引して
いく姿にも脱帽ですが、最も印象に残るストロングなトラックが#2.Paying
the Cost to be the Bossで、ライヴ録りっぽい生々しさとKENT時代の
B.BKing生き写しのハイテンション・ギターもやたらカッコいいです。

2008 USA Gayle Ackroyd Self Released  (スリムタイプのケース入りCD-R盤)



Best of

まさにかかって濃い!と言う感じ、今年度最高峰のザディコ・ライヴ盤で
あるばかりか、コクとまろやかさもあるヘヴィーな作りで So Happy!

Chubby Carrier and the Bayou Swamp Band
Live At Knuckleheads, Kansas City
CD \2,850
tax in
何ともこの10年で僅か三枚の作品しか出していない模様のチャビー。
実は2006年に出していた盤をこぼしていたため、お客様へはこれが
お店的には6年ぶりくらいのご紹介です。聴くと直ぐに判りますがチャビ
ーがこの10年全く変節していないことの喜び。#6.Cisco Kid等ファンク
・チューンと#8.Rock Me Babyといったブルース・チューンがごく自然に
ザディコの中に溶け込んでいる姿には心底ハッピーな感じがします。
ケンタッキーに遠征した時のライヴ盤、客席の自然発火ぶりも臨場感
満点、コクのある音楽にだからこその大きな満足感が残る点も特筆。
特にルイジアナ音楽ファンでなくてもこれは絶対のお薦め!です。

2008 USA Swampadellic Records

特にクリオール・サウンドが判っている人でなくても心地よく聴けるケイジャン・フィドル
というより以上に、この人は何かとってもビッグで重要な演奏家になりそうな気がします

Cedric Watson - S/T CD \2,850tax in
コーリー・レデットとの共演盤を聴いたとき、至極オーセンティックなケイジャン・フィド
ルとしての音と同時に、何かがとっても新しい感じが何とも素晴らしくて、その時はあ
えてNOCの方のお客様にぶつけてみました。それから早二年、今度の作品にもコー
リーは居ますが作りとしてあくまでもセドリックのソロ作として完成させた感じ。さらに
はより多面体的なケイジャン・サウンドの確立を目指したのか、王道の雰囲気を残し
つつもエレベやエレキを多用し実に色彩豊かな作品に仕上げています。特に最高に
心地よいケイジャン・ロックとして耳に届く#12.La Vielle Chanson De Mardi Gras は
かつてハマリにハマって今も抜け出せないでいる、Ashley Hayes が歌う
Kevin Naquin の盤以来の興奮を思い出し。あと一発目#1.Cochon De Lait も
抜きん出て素晴らしい曲。ラスト#15.終了後、time9:29からの隠しtrackもお聞き
逃しありませんように。ちなみにこの人、Pine Leaf Boysの主要メンバーである
ことを、bsr誌82号のはたのじろう氏の記事(p.80)で知りました。なんと、
そうダッタン人の踊りだったんですね。(古いおやじギャグデス)

2008 USA Valcour Records VAL-CD 0004



Best of New Orleans Club

極めて豪華なメンバーが集結している一方で、シンプルかつ淡泊に仕上げた作品
John Boutte Good Neighbor CD \2,850tax in
如何にもジョン・ブッテらしいアレンジで歌われるニール・ヤングの
名曲"Southern Man"のカバーを、私の場合まず最初に何度も何
度も聴いてしまいました。いつもブッテを聴くと感じるオンリーワン的
な魅力の全てがこの曲に集約されている気がします。加えて、その
アレンジには、これがニューオリンズ以外のジャズマンたちだったら
絶対にこうはならないだろうという独特のグルーヴ感に溢れている
こともまた事実。標題曲の#2.Good Neighborにも象徴されますが
ゲストの人数とは逆に、至ってシンプルでアコースティックな印象
を残す点も特筆。このセンス、かなりクールです。

2008 USA John Boutte Independent

16世紀が甦る感じの聖歌隊、合唱との共演がひたすら聖なる響きのジョン・ブッテ
John Boutte with Conspirare CD \2,327tax in
全8曲収録のやや短編集といった趣の作品ながら、一曲一曲の存在感が
ずっしりとしているのもまた特徴。オースチンを主たる活動地としているグ
ループ、Conspirareとの共演で作った作品。時にはクラシックでいうところ
のピアノ曲といった風情の伴奏で歌い上げる姿もありますが、全体はとても
美しく麗しい合唱との共演形式を取っています。ここでまたサム・クックの
名曲#2.A Change is Gonna Comeをあえて取り上げたのも、数多あるカバ
ーの中で、今回の歌を最高位に位置づける確信を持って臨んだのかも知
れません。実際ははただ無心に歌った結果がそうなっただけなのだと言う
かも知れませんけど。泣ける歌をお探しの方に迷わずお薦め致します。

2007 USA Self Released



Best of Americana Club

ポール・サンチェス(Paul Sanchez)
凄い顔ぶれの友達がこれでもかっていうくらい集まって作ったナイスな一作

Paul Sanchez Exit to Mystery Street CD \2,650tax in
何とも表現しがたいこの独特のキャラクター、ロックシンガーともSSWともギタリ
ストとも言い切れない微妙な立ち位置から放つその歌は、もろアメリカーナ路線
ルーツィーなロックからメキシコ歌謡まで、文字通り何でも有りという感じ。ふと
名前が浮かんだエリック・リンデルとの比較でも、ポールの方がはるかに土臭く埃
っぽいのが際だつところ。とにかくゲストも半端ではなく、特筆はSusan Cowsill の
#5.Sedationでの存在感と Shamarr Allen のトランペット。作品中、一発で琴線に響く
トランペットはことごとくがこのシャマーのペットです。Claig KleinJames Andrews
が一緒に活躍する#7と#10はもろガンボスープ・チューンと言ってもOKな音、
煮込み具合も最高です。一種サボテン・ロックとも言える乾きがGood !

2008 USA New Orleans Independent

ジャズとブルース・ロックがユーロピアンなSSWサウンドに溶けた感じの歌
そんな中登場するディラン・ソングの何と魅力的な響きであることか

Hope Waits S/T CD \3,350tax in
オールドタイムなジャズ感覚と同時に、ややアンニュイなタッチの
ヨーロッパ系SSWのエッセンスが溶け込んだ感じの作りが特徴。
ファドやシャンソンに特有のどろっとした成分に琴線を直撃される
人もありそうで、そんな中ブルージーなケイジャン・アコーディオンが
見え隠れするのも如何にもニューオリンズの女性。個人的な直撃
弾はディラン・チューンの#6.Ring Thembells。このかったるさこそ
彼女の最大の武器かも知れません。有名ファッション誌の表紙を
飾りそうな美貌をあえて出さないのも、実力勝負の自信作故だと
見ました。SSWファンは一発で魅了されてしまうこと間違いなし。

2007 USA New Orleans Independent



Best of Jewel Jazz Club

パーカームード満点のビバップ・チューンを今人の青年が吹くことの面白さを満喫出来る盤
Dominick Grillo / Mr.Saturday Night CD-R \2,970tax in
これはまさに懐かしのビ・バップ・ワールド一周のミニSLといった風情。
始発駅のドキシーに始まりビリーズ・バウンス高原やオーニソロジー
山脈を経て終着駅は愛しのドナ・リーが待つ駅という具合。特に面白い
と感じたのは、全体の雰囲気はもろにパーカー一色に染まっているにも
関わらず、アルトの音自体はどちらかというとスティット系の硬質なタッチ
が印象に残る点。あと共演のいぶし銀ギターがやけに【e】のも特筆で、
恐らく若いギタリストだとは思うのですが一体この人は誰?#4.Chese
Cakeなんか地味派手にクールなビバップ・チューンでもう最高!

2007 USA New Orleans Independent

まさにギター・ミュージックの魔術師と言えるニューオリンズのフィンガー・ピッカー
John Rankin Last in April First in May CD \2,850tax in
ガットギターで表現することが出来る、およそ思い付く限りのアコースティック
なサウンドを全部ジョン・ランキン流にやってみたぞ、という作り。旧作をご存じ
の方には説明不要、恐らくジャンルという概念が彼には無くて、あるのはひた
すら美しい音楽という概念だけなんだと思います。その美意識の徹底ぶりは
楽曲毎のアレンジが半端でなく凝っていることからも容易に知ることが出来
ます。クラシックの小品的なものからフラメンコにジプシー・スイング、カリビアン
なジャズにネオアコの王道をいくフュージョン・タッチのものまで何でも濃い!
沢山あるバリエーションの中で私はクラリネットとのデュオ曲#6.が最も気に
入りました。ギターファン、特にガットギター好きは絶対に押さえて下さいね。

2008 USA John Rankin  New Orleans Independent RMCD-108