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appleJam Best of the 21century
別のページにも同じ事を書きましたけど、優れた音楽にはほんとにマンネリというのがありません。時に自分がある時点で固まってしまいそうになっても、あっさりとその殻をぶっ壊して新たな空気を送り込んでくれるアーティスト達が居ます。今この瞬間ではシャマー・アレンやトローンボン・ショーティの音が私にはまさにカンフル剤、彼らの奔放な音作りがまた私を30年分は若くしてくれた気がします。特にショーティーのアルバムで聴ける、ぱっと聴きエレキ・ギターのファズトーンに聞こえるエレキ・フランジャー・トランペットなんかが現代の若い人にも恐ろしくカッコよく聞こえるのだそうです。過去マイルスの時代に開拓されて色んな人がやってきた音だけど、世紀をまたいで今今度はマイルスやその時代の音を全く知らない人がそういう音にシビレている姿はまさに歴史のスパイラルを見る気分がします。その意味では(古いものと新しいものを繋いでいるという意味では)ブライス・ミラーもまた今後とても大きい意味を持った存在だと感じます。とにかくここから先のアメリカン・ルーツ・ミュージックの展開が楽しみで目を離すことが出来ません。このあとも
7大クラブでとことん追いますのでどうぞご期待下さいませ。(2011年12月27日)
ジョー・クラウン
10年ぶりのピアノソロ作品、自己ベストを超えて今世紀のベスト作品と言えそう
Joe Krown Exposed
03年盤の感動と衝撃が今再び!ひとつひとつのタッチとタイム感の
精緻さに精密な工芸品を見る思いがする〜というのは私がその03
年盤"New Orleans Piano Rolls"に受けた印象ですが本作でもその
印象は益々深まるばかり。#1.Exposed は恐らく彼が今回の作品を
作ろうと思い立つ動機になったのではと想像する秀逸なオリジナル
曲。そして#3.All That and Then Some彼こそがニューオリンズ系の
ソロピアノ演奏で自他共に世界一の演奏家であることを実証してい
る気がするこれも優れたオリジナル。カバーでは James Bookerの
#4.Pop's Dilemmaに溢れる現代感覚がソーナイス♪
2012 USA Joe Krown Self Released JK-1005
ボビー・チャールズ
自然体で歌って凄い盤、何度も全身に身震いが走ります
リリース直前2010年1月に亡くなってしまったためこれが遺作となりました
Bobby Charles Timeless
今作ではサニーが全面参加の上、さらにはドクター・ジョンがボビーと共同
プロデュースしているのに注目。おっ!という気持ちが先に走りますが、仕上
がりは至ってボビー色が全編を包みます。サニーのゴキゲンなギター・ソロは
別としてここではドクター・ジョン自身の色はかなり抑制したなと感じます。
一方でこの組み合わせが生んだシナジー効果は抜群に発揮されていて、ボビ
ーのファンはもとより全アメリカーナ系のファンに対して弩級の訴求力を持つ
作品になった感があります。せめても仕上がりを満喫してからの他界だった
であろうことをファンとして慰めに感じつつ、誰もがずっと人生を共に歩みた
かったはずの人を亡くしたこの悲しみを埋めることが出来ないのでは
と想像しています。晩年は引きこもりがちだったとのこと、ブッシュ政権
以降のアメリカが如何に病んでいるかを痛切に実感します。そしてその
見えない支配者たちのねじ曲がった力は既に地球の半分以上を汚して
いるのかも知れません。おっと話が脱線、とにかくこれ以上の言葉は不要、
#2.Where Did All The Love Go でのウッドストック世代のノリと、もろ
テックスメックスに走っている#8.Old Mexico始め全曲が素晴らしいです。
2010 USA Rice 'n' Gravy Records 517
クリス・トーマス・キング
やけに心に染みる歌が増えてきたのと、居心地の良い余韻が残るのが特徴
Chris Thomas King Antebellum Postcards
当初は25曲集録のダブル・アルバムとしてリリースするつもりだったのを、
思うところあって別々の2枚のアルバムとして出すことにしたという、これが
その最初の1枚です。彼の場合、ブルースマンとかギタリストとかいった定義
から解放された状態に自分を置くのが好きみたいで、本作でもいたってSSW
的なアプローチをしているのが印象的。#2.Wayfaring Stranger は歌詞の内容
は理解出来ないながらも、私にはまるでクリスが分身の自分を見つめている
心境のように思えました。彷徨うもう一人の自分を三人称で見ているクリス。
何処かに行こうとしつつ道に迷っている自分を、もう一人の自分が見ている
という構図の夢を(私が)見た時の気分が蘇ってきたためそのように感じた
のかも知れませんが。#6.Skeches of Treme は自身のルーツを感じること
が出来る聖地トレメ地区をエスニックに表現している姿が郷愁を誘います。
いつものワイルドなギターが聴ける#3.Rehab なんかもちゃんとあります。
2011 USA Independent
トレイシー・ネルソン
何時か作りたかったというブルース、R&B、ゴスペルだらけの黒人音楽アルバム
Tracy Nelson Victim of the Blues
本作のこのコメントを書く今この瞬間まで、彼女がボビー・チャールズと
別れていたことを知りませんでした。とはいえ昨年のボビーの他界が何
らかの作用を彼女にもたらしたであろうことはつい想像してしまいます。
時は1960年代、まさにブルームフィールド達がフィルモア・ウェストでぶい
ぶい言わしてた頃から彼女もまた何時かは純黒人音楽のアルバムを出し
たかったそう。そこから半世紀を経て今それが実現したのも、きっと人間
生きているうちにやりたいことはやっておかないと、と思ったのかも知れま
せん。その反面、決して古典に執着はせず#2.Load a Hot といった最近の
ブルース作品もカバーする辺りやはり彼女は今も進行形のブルース娘
であることを実感。盟友とも言えるマーシャ・ボール参加の#3.Shoot
My Baby は個人的に本作で最もお気に入りになったジミー・リード・
チューン。かつてマーカス・ミラーやD.サンボーン達と共演したTV番組
で抜群のゴスペル・フィーリングを全開していたトレイシーがここに居る
と感じたのがラスト、ジョン・コーワンとのデュエットで歌う#11.Without
Love。このヘヴィさは格別、如何にものしめくくりにふさわしい曲です。
2011 輸入盤国内仕様 BSMF BSMF-2222
過去を通じてこれがモニカの最高傑作盤!円熟の中にも蘇るMAXヴォルテージも有り
Sista Monica Parker Living in the Danger Zone
モニカを追って本作で早10年超、いつしか不動の存在感を私達に植え付けて
くれました。モニカの歌のない生活なんてあり得ないというくらい私も普段から
よく聴きますが、本作は近年の他のブルース作品を含めても抜きんでて素晴
らしい大充実作です。導入時にはよくシュミキア・コープランドと比較されました
けど実華(じつはな)共にモニカの方が圧倒していることは周知の事実。#5.Fierce
Force of Nature が放つ抜群のオーラや表題曲#2.Living in the Danger Zone
のセクシーさはかつてのデニス・ラサールを思い出します。#12.Once Lovved
Twice Bitten は復帰後路線の中でも一際輝きます。 ピアノと歌にゲストの
Kelley Hunt加わるロッキン・ゴスペル調アレンジの#14.Gloy Hallelujahは
そのケリーのピアノソロと歌も共に値千金!です。ケリーのピアノ、ホレス・シルヴァー
並にファンキーでもう最高!お馴染みの曲にまた新しい顔が登場しました。
2011 USA Mo Music Records MMRE-9663
ミシシッピ・ヒート
冒頭一曲目から震いつきたくなるほどの魅力を発散、その#1〜2の流れでもはや完璧
Mississippi Heat One Eye Open 〜 Live at Rosa's
今夜はデルマークのライヴ・レコーディングなのよ♪ という、やや高揚気味の
アイネッタのMCと共にスタートするど頭の曲。浮遊感のあるシンプルなリズム
の繰り返しにいつしかメンバーも聴く側もなにやら言葉にならないほどハイな
気分になっていきます。CDを聴いているだけなのに自分もその場の一員にな
ったかのような感覚。ゲストのルーリー・ベル(g)とオルガンのハンボーンも抜群
のサポートで、中でもルーリーが歌う#8.Cold Cold Feeling はギターもろとも感
電しまくりのエキサイティング・トラック。マックスが弦を切りながらもアルキンっ
ぽく大熱演する#3.One Eye Openはアイネッタもラコックもマックスも全員が
ハイ・ヴォルテージ状態で私はもう百回は聴いていると思います。
2005 USA Delmark DE-783
★★★★★
ブライス・ミラー
同じ新旧取り混ぜでも今までのとは何かが違う、新感覚ニューオリンズ・トランペット
特にUrban Swing編以降の章での大胆なヒップセンスはコンポーザーとしても注目!
Brice Miller A Day in the Life
ニューオリンズで新世代と言われてきたJ.アンドリュースやカーミット・
ラフィンズ辺りとスタイル的には似ているにも関わらず、このブライス・
ミラーは根本的に何かがもっと新しい、そんな印象を強く受ける作品
です。最近の若手では特にシャマー・アレンに注目していますが、これ
でまた新たに追いたい人が一人増えました。キャリア等詳細は不明で
すが著名なブラスバンド出身か?共演のKirk Johseph のスーザフォ
ンが活躍する#3. I'll Take You Thereと曲自体大好きな#8.St.James
Infirmary が印象深いですが、特に後者はそのアレンジ・センスに
ブライスのコンポーザーとしての才能も感じます。期待度大!の人。
2008 USA Miller Mac Media
★★★★☆
シャマー・アレン
どんな道を行く人かまだ判らないけど無限かつ未知の魅力を満載したシャマーが放つ意欲作
Shamarr Allen and the Underdawgs 504-799-8147
07年盤"Meet Me On〜"で受けた、爽やかにも強烈な第一印象から
早四年。本作では何と予想もしなかったハードなヒップホップ系ロック
チューン#10.Uh Huh! が飛び出したり、まるで松山ケンイチが劇中で
歌う渋谷系チューンかみたいな #4.Friend Zoneと、かなり多面的かつ
攻撃的な作りが印象的です。#5.Think Like You はまるでニューメタル
みたいに聞こえるし#7.You're My Doctorはオヤジ世代の私にはAOR
ミーツ・ヒップホップの構図に見えるし、これは聴く人の感性や世代に
よって同じ曲でも大きく印象が変わりそう。個人的には#14.Out the
Windowにもう一人のニューオリンズの偉大な若手tp、Cristian Scott
との類似点を垣間見た気がして続編がとても楽しみになりました。
2011 USA P.O.M.E. Music Group
トローンボーン・ショーティ (トロイ・アンドリュース)
全編が強烈にヒップ&クールで大都会的、文句なしこれは凄いし無限の可能性
Trombone Shorty For True
本作の#1.Buckjump を聴いてふいに浮かんだイメージがウイル・スミス
主演の映画「バッドボーイズ」の新作、仮称2バッドアゲインのオープニン
グ・シーンでした。もちろんそんな映画まだないけどハリウッド級のヒット
映画に使われても驚かない音になってきたことの実感。#12.UNCのクー
ルさもまさに都会的。トロイは完全に脱皮したというか、メジャーでは思い
切った変身をしてみようという意欲がビンビン伝わる感じです。ニューオリ
ンズというよりはるかに陽光降り注ぐ原色の街マイアミっぽい音ですよね。
そんな中 #7.Dumaine St.に故郷との接点を感じたり、こういう音ならそこ
に仮にカーク・ジョセフなんかが居ても全然驚きません。
まだまだ発展・変化しそうなエネルギーを無限に持っている
ことの実感。プロデュースは前作に引き続きベン・エルマン。
2011 USA Verve B0015586
マイルド・テナーとスインギーなピアノが織りなすクール・ブラック・ジャズの世界
Madam Queen Earma Thompson,Ari Brown,John brumbach
ブルージーなジャズや小粋にスイングしているコンボ・ジャズが大好きな方は決してこの
作品を見逃さないでください。アーマの前作をご購入の方には説明不要のこの至福感、
今回はさらにダンディなツイン・テナー参加の五重奏団編成。まさに最強のクインテットです。
冒頭#1.Next Time You See Meのゴキゲンな滑り出しに加えて表題曲#2.Madam Qeen での
アーマのツボにはまるピアノのクォンタイズ感は必殺のタメ弾き直撃弾です。さらに #6.Sunny
及び#7.Trouble in the Day Room で織りなすテナーのグルーヴ感はR&Bシーンと長屋住まい
のジャズだからこそ生まれ得る要素。宇宙のアルゴリズムにも匹敵するこのパワー、アーマが
ジャズを弾くようになったのは結婚後からということなのですがこのノリ、センスはもともと
ジャズ弾きだったとしか思えません。アーマは2009年春に惜しくも他界しています。
2007 USA Sirens Records SR 5015
これ↓はこのページの(上記CD)CDと同内容のDVDですが、映像的にも新時代を感じさせるカメラワークと編集に感動した一枚なので載せました。これを初めて観たときの感動はまさに一生モンというやつです。CDは持ってるという方も是非DVDを一度は観て欲しいなと思っています。
今までとは何かが根っこから違う、画期的で感動的なブルース映像。音質も画質も抜群!
Mississippi Heat One Eye Open 〜 Live at Rosa's Lounge,Chicago
まず彼らの当夜のステージが破格に素晴らしかったことは既に先行発売
されたCDで証明済みですが、さらにこのDVDだけの特別なファクターとして、
見た瞬間今までのライヴ映像とはその作りが根本的に違うことに気付くはず
です。各ショットでのアングルといいフレームの移動の仕方といいこれはまる
で超一流のハリウッド映画を見ているかのような迫力のシーンの連続です。
特に冒頭一曲目でその傾向を強く感じました。ましてその一曲目のラコックの
熱演が、ブルースハープ史の殿堂入り間違いなしの名演なのです。これを見
て興奮しない人はまず居ないでしょう。さらにルーリーをここでは終始準主役
級としてカメラに収めていてそれも大変に嬉しい要素。何もかもがインパクト
大の素晴らしいブルース映像となりました。デルマークの新プロジェクト、
Blues DVDシリーズから当分目が離せなくなりそうな展開です。
2005 USA Delmark (PCM24bit/48khz Stereo)